HACCP(ハサップ)とは、食品の安全を確保するための衛生管理手法です。
国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められた「衛生管理手法」です。
この「衛生管理手法」についてもう少し詳しく説明すると、原材料の入荷から製品出荷までの全工程で危害要因(ハザード)を把握し、それらを除去または低減させるために特に重要な工程を管理することで、製品の安全性を確保することが目的です。
HACCP方式と従来の製造方法の違いは、従来の抜取検査による衛生管理に比べて、より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能となるとともに、原因の追及を容易にすることが可能となります。
2018年に制度化され、日本では2021年から完全義務化されて、原則としてすべての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に取り組む必要があります。
事業規模により取り組みが異なる
〇大規模事業者・・・食品を製造し、加工し、貯蔵し、販売し、又は処理する営業を行う者のうち、食品等の取扱いに従事する者の数が50人以上である事業場、と畜場、食鳥処理場
〇小規模事業者・・・飲食店営業又は喫茶店営業を行う、食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場などが該当
カフェなどの飲食店は小規模事業者に該当し、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が必要です。
取り扱う食品の特性等に応じて各業界団体が作成した【手引書】を参考にして、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行います。
対する大規模事業者は「HACCPに基づく衛生管理」を行う義務があり、事業者自ら計画書を作成して管理を行う必要があります。
小規模事業者が実施すること
小規模事業者は、業界団体が作成し、厚生労働省が内容を確認した手引書を参考にして以下の1~6の内容を実施します。
1.手引書の解説を読み、自分の業種・業態では、何が危害要因となるかを理解し、
2.手引書のひな形を利用して、衛生管理計画と(必要に応じて)手順書を準備し、
3.その内容を従業員に周知し、
4.手引書の記録様式を利用して、衛生管理の実施状況を記録し、
5.手引書で推奨された期間、記録を保存し、
6.記録等を定期的に振り返り、必要に応じて衛生管理計画や手順書の内容を見直す
具体例:小規模な一般飲食店事業者向けの「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」とは
①衛生管理計画の策定
[一般的衛生管理]と[重要管理]のポイントがあるのでそれぞれ確認しましょう。
[一般的衛生管理]では以下のチェックを行います。
〇原材料の取扱い・・・原材料は適切な状態で納品されているか、適切に温度管理できているか
〇店舗の清潔維持・・・器具や施設を介して食材や提供する料理を汚染させないようにできているか
〇調理従事者の衛生、健康・・・人を介して食材や提供する料理を汚染させないようにできているか
[重要管理]は以下の調理方法に応じてそれぞれのチェック方法を決めます。
〇冷たいまま提供・・・食材に付着している有害な微生物を殺菌することができないため、有害な微生物に汚染されていない食材を使用するか、万が一、付着した有害な微生物が増殖しないように冷蔵庫(低温)で保管する
〇加熱して熱いまま提供・・・食肉などに存在している多くの有害な微生物は、75℃で1分間以上の加熱で死滅するため、中心部まで火を通すことが重要
〇加熱後冷まして提供、さらに再加熱して提供・・・加熱調理したものを長時間室温においておくと、加熱しても食品に残っていたり、加熱後に付着した有害な微生物などが増えてしまい、食中毒の原因となります。加熱後、保管する場合には、60℃以上で保管するか、危険温度帯(10~60℃)に長く留まらないように、素早く冷却することが重要です。
②計画に基づく実施
策定した計画に従って実施記録を日誌のようにつけ、日々の衛生管理を確実に行っていき「見える化」します。
[一般的衛生管理]では7項目のポイントについて、「なぜ管理が必要なのか」理解し、「いつ」「どのように」管理し、「問題があったときはどうするか」の対応を考えて記載します。
例えば「原材料の受け入れの確認」では「原材料の納入時」に「外観、におい、包装の状態、表示を確認する」とし、問題があったときは「返品し、交換する」と、普段から行っていることを思い出しながら記載していきます。
[重要管理]のポイントでは調理方法に応じて分離したグループごとにチェック方法を決めて、「問題があったときはどうするのか」対応を考えて記載します。温度管理が必要ないものは分類する必要はありません。
例えば、刺身などの生もののメニューの場合、チェック方法の項目には「冷蔵庫より取り出したらすぐに提供する」。問題があったときの項目には「食品が冷たくない場合は、提供しない又は加熱用に使用する」と記載します。
③確認・記録、振り返りの実施
1日の最後に実施の結果を記録しましょう。また、問題があった場合にはその内容を記録用紙に書き留めておきましょう。
一般的な衛生管理や重要管理のポイントのチェックはきちんと実施されていたか、毎月記録の振り返りを行います。
振り返りではクレームや衛生上気がついたことなど、同じような問題が繰り返し発生している場合は、同一の原因が考えられますので対応を検討しましょう。
具体的には、調理可能な量(普段から処理できる量)を超えての作業は食中毒の発生にもつながりますので、無理な受注は控えましょう。
従業員が交代した場合は、衛生管理計画を説明して教育し、実施内容を記録に残しましょう。メニューや原材料が代わった場合、納入業者が代わった場合、設備・器具に変更があった場合には衛生管理計画を見直しましょう。
まとめ
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うことで食品事業者の衛生管理レベルが向上し、品質不良や異物混入などの食品事故が起きづらくなります。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理をしていない事業者には行政指導が入りますが、改善されない場合は営業禁止・停止処分が科せられる事もあります。
食中毒事故の約半数は飲食店で発生しているという結果も出ているので、各々の事業者が徹底した衛生管理を行うことでこのような事故を無くしていく事ができます。
あなたのお店もHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行い、安心安全な店舗運営を行いましょう。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/01_00019.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html
【参考】厚生労働省:食品等事業者団体が作成した業種別手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)※PDFファイル
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001198221.pdf
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公開日:2024年9月11日